こだわりの味探訪
Taste半田そうめん
2007年4月取材
吉野川の澄んだ水と良質の小麦でつくられる徳島・阿波半田の名産「半田そうめん」。今回は、吉野川の清流のそばに製造工場がある「株式会社オカベ」でお話を伺いました。
「半田そうめん」の発祥は奈良県三輪地方に端を発し、淡路島・鳴門を船で経由して阿波半田に伝えられたと云われています。吉野川を通る平田船の船頭が、家族の自給用や副業として行わせたのが始まりといわれています。
「そうめん」と「冷麦」の違い
「半田そうめん」は、直径1.3mm~1.6mmで太めでコシの強いのが特徴です。ちょっと見た目には「冷麦?」と思う太さに見えます。これは、そうめんを伝えた船頭さんたち自身が食べるために手間をかけずにつくったそうめんを原形としたためと云われています。
実は、日本農林規格(JAS規格)では、機械麺の場合、「そうめん」の麺の太さは直径1.3mm未満とされています。直径1.3mm以上~1.7mm未満は「冷や麦」に分類されています。が、「半田そうめん」は、昔から「そうめん」と呼ばれていることと、その製法からも「そうめん」と認められています。
その製法とは、半田そうめんは生地を延ばすために油を使い、何度も寝かしたり熟成させることで生地に強いコシが生まれます。手打ち麺の組織は網目状ですが、手延べの半田そうめんは、麺をねじりながら延ばすので、組織がらせん状になっているとの事。だからコシが強くなり食感がモチモチしているようです。
「塩」の使い方で味と熟成加減に差が出る
「半田そうめん」をつくる上で、塩は重要な役割をします。塩は味付けだけではなく、熟成加減に作用するので、塩がキツ過ぎても弱過ぎてもいけないそうです。麺づくりは、何度も延ばしては休ませる事でグルテンが強く結びつき繊維状につながります。だから、細く延ばしても切れないコシのあるそうめんが出来上がります。"熟成"が上手く出来ると、甘みも出てくるそうです。この麺の中の塩は、お湯でゆでる時にある程度抜けて丁度よい味になるということです。
冷たくしてもにゅうめんにしてもおいしい「半田そうめん」。もちっとした喉越しの良い食感を味わってみませんか?